よくあるご質問

クレーン・デリック運転士試験関連

全国7箇所の安全衛生技術センターで学科試験と実技試験を受験する方法です。 学科試験が6,800円、実技試験が11,100円のため、最低額は17,900円(+交通費[会場までの往復 × 2]+受験申請書郵送料[簡易書留440円 × 2])となります。 学科試験は参考書、過去問題集を買って独学で合格する人も多いですが、実技試験は実機やシミュレータでの経験がないと困難と言われています。

学科試験に合格すれば、その合格通知を実技試験の申込書に貼付して発送するため、通常は学科試験の翌々月以降の実技試験に申し込めます。急ぎの場合は、学科試験マークシートに「合格した場合 直後の実技試験に申し込む」という項目にチェックしておくと直後の実技試験(翌月など)を受けられます。

その場合 最短で2,3か月となりますが、実技試験は合格率が5割弱ですので再受験も考えておく方がよいでしょう。

また例年12月や3月の実技試験は混む傾向にあり、締切直前に申し込むと翌月に回されることもあります。

学科試験対策を行っているクレーン・デリック運転士の都道府県登録教習機関で教習を受けるのがよいでしょう。登録教習機関には一般社団法人や株式会社があります。

教習機関での修了試験に合格すれば実技試験は免除されます。修了試験に合格しなければ、補習し再試験を行う場合と 再度受講が求められる場合があります。

その後、安全衛生技術センターで学科試験に合格する必要があります。

受講料は学科試験申込費用込みで14~15万円程度です。

ヘルメットと長袖作業服、安全靴は受験者が持っていく必要があります。安全靴かどうかは確認されませんでしたのでスニーカー等でも受験できるはずですが、Tシャツやサンダルなどは不適切とみなされ、減点対象や失格となるおそれがあります。

開始直後、吊り荷を2mまで巻き上げます。巻き上げすぎたり(30cm以上)、巻き上げ不足だったり(20cm以上)すると大きな減点となり修正を求められます。

クレーンの銘板から巻上定格速度を読み取り2mを速度で割って秒数を算出する方法もありますが、試験会場によっては銘板の文字が読み取りづらいこともあります。

会場に入った後の模範演技で「2mまでの巻上秒数」を頭の中で数えておくことが有効でしょう。

最初に練習として1分間が与えられ、吊り荷のドラム缶をP地点からS地点へ移動させます。

1分間では、多くの人がS地点の着床までできません。

ここは割り切ってそれぞれのモーター速度の確認に使うのが得策かもしれません。お勧めなのは

  1. スムーズな地切
  2. 走行と振れ止め
  3. 横行と振れ止め

でS地点あたりまで移動する方法です。

1分後には笛を鳴らされ、吊り荷がどこにあっても担当官がS地点へ移動してくれます。

実技試験中は、失格行為(ポールやバーを倒す、制限時間超過)がなければ 減点行為を行っても止められません。逆に減点行為からのリカバリーが評価されることもあります。落ち着いて最後まで操作しましょう。

シミュレータ関連

一般にどちらも現実を模擬するシステムを意味しますが、シミュレータは訓練用途のもの、シミュレーションは研究用途ものを指すことが多いです。

シミュレータ(訓練用途)は、いくつかの想定環境で決まった入力への反応を返すことで確認と操作を繰り返す学習目的なのに対し、シミュレーション(研究用途)はあらゆる環境や条件に対して詳細な反応を返すことが求められるため、スーパーコンピュータを利用するなど規模が大きくなりがちです。

例えば弊社の天井クレーンシミュレータは訓練に必要な、揚程による荷振れの幅や周期はリアルに模擬しますが、直接 訓練に影響しない三相誘導電動機や巻過防止装置の種類による挙動差は再現しておりません。

最近の研究により実機とシミュレータを併用することでスキルの習熟が早まるとのデータが出ています。

特に初心者の場合、最初から実機を使うよりも、最初にシミュレータを使った後に実機へ移行するほうが、早く習熟レベルに達する傾向があります。
この理由としては、実機操作に危険が伴うため、初期は過度に緊張や躊躇が発生し、これが学習を妨げることが挙げられています。

実機の挙動や環境条件を完全にシミュレートすることは残念ながらできないため、個々の実機の習熟を極めるには最終的には実機で訓練を行った方がよいでしょう。

実際、シミュレータで基本的な操作を覚えたあとに実機を使ってOJT(On the Job Traininng)を行うというかたちが採られることが多くあります。

クレーン・デリック運転士試験に関しては、会場の天井クレーン詳細仕様は公開されないため、近似性能の実機を探すことが困難です。
そのため受験経験などから試験会場の実機に近い性能を再現したシミュレータ訓練が有効と考えられます。

航空パイロット養成用シミュレータが最初にアメリカで作られたのは1920年代末ですが、これはパイロットの操縦に反応し計器を読み取るだけのものでした。
コンピュータグラフィックスによる視界模擬が追加され大幅な進化を遂げるのは1970年代以降になります。

日本で最初に天井クレーンのシミュレータが作られたのは1960年代半ばの科学技術庁の研究によるもので、スライドやナレーションの指示に従って操作の学習を行う方式でした。
この研究では、実機のみで訓練したグループより シミュレータを併用したグループのほうが「国家試験コースの所要時間が短く、ハンドル操作回数も少なかった」という結果がでています。

参考情報(論文)

HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用して気分が悪くなる方もおられます。これはVR酔いと呼ばれ、視覚や平衡感覚が日常と異なる状態におかれることで、脳がその原因を神経毒によるものと錯覚して嘔吐等により原因を取り除こうとする反応との説があります。

  • 焦点位置とボケが連動しない
  • 頭や視線の動きに映像が追いつかない
  • 視点移動の加速度を平衡感覚が感じない

これらの要因は近年の機器性能の向上により軽減される傾向にあります。

VR酔いの程度は個人によって大きく異なり、同じものを体験しても長時間平気な方とすぐに耐えられなくなる方がおられます。

現時点ではすべての人がVR酔いを起こさないシステム構築は困難なため、必要に応じHMD以外の代替手段を用意したほうがよいでしょう。

フライトシミュレータは現在日本を含む多くの国で操縦士資格取得訓練の一部となっています。

現時点でクレーン運転士の資格試験にシミュレータが認められている国はありません。
アメリカではNCCCO(全国クレーン運転士認定委員会)が試験を行い資格を与えていますが、その実技試験用シミュレータが存在します。

参考情報(厚生労働省)NCCCO(英文)

完全社内開発の国産シミュレータです。