ご導入学校インタビュー:港湾短大横浜校
いつから、どのような職務を担当されていますか。
当校の港湾流通科で合計20年勤めています。途中3年間ほどポリテクカレッジ神戸校に港湾技術科の教授もしていました。
入校した生徒ひとりあたり2年かけて港湾関連企業で働く技術者として育成します。
当シミュレータ導入前、どのような課題がありましたか。
今から14年ほど前に地元の港湾関連企業から要請があり、ガントリークレーンコースを設けました。校内に訓練用天井クレーン設備を設けられなかったため、生徒の方には外部の登録教習機関に通ってクレーン・デリック運転士の資格を取得いただいています。
施設が遠い場合は、生徒も通うのが一苦労でした。外部機関の利用には費用がかかり、毎年 定員を絞る必要がありました。
クレーン・デリック運転士の中でも一人前のガンマン(ガントリークレーン操縦者)になれるのは技術レベルや適性によりほんの一握りであるため、地域の要請に応えるには定員制限は好ましくありません。
また外部機関に依存すると教育が継続的に提供されるかどうかも不確定ですので、当校内で安定してクレーン・デリック運転士を育成できる環境が望ましいと考えていました。
導入を促した貴校の方向性はありましたか。
我々の機構(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)は設備導入にトレンドや流行が影響することがあります。
近年、VR・AR訓練シミュレータについて積極的な傾向はあります。
導入にあたって、主な懸念は何でしたか。
導入前にデモ機を利用しましたので、特に懸念はありませんでした。当シミュレータを現在どのようにお使いですか。
昨年よりフォークリフトや揚貨装置等の運転実習に組み込んで一般の授業で使っています。
そちらではクレーンの基本や危険性を安全に学ぶための体験教材として利用しています。まずは横行コースで吊り荷の振れ止めの必要性について、次に走行コースでクレーンの惰性について教えます。
またガントリーコースの生徒が資格を取得するためにも使用し始めました。今後、シミュレータのみで資格取得できる生徒が増えてくれば外部機関に依存する体制も変わるかもしれません。
ご導入から約1年ですが、これまで何名の生徒がこのシミュレータを使って訓練されましたか。
今年の港湾流通科の生徒、約20名全員に体験してもらいました。シミュレータ2台を1グループ5,6名が半日単位で使用します。
オープンキャンパスで当校を見学される方にも使ってもらっています。その場合は横行のみなどの簡単なコースで基本操作を体験いただきます。試験コースも見せますが、体験段階で難しいと敬遠されるかもしれないため、興味を持つレベルに留めています。
生徒の皆さまが当シミュレータを使うときには常に教官がそばにおられますか。
最初は教官がついて指導しますが、繰り返し練習の段階では生徒単独で使用させました。
運用に関して気をつけておられることはありますか。
安全性については問題ないので、特に気をつけることはないですね。生徒がヘッドセット等を荒く扱って壊さないかのほうに気を使います。
実際に利用するようになってお気づきのことはありますか。
肉眼で難しいことはシミュレータでも難しいなと気づきました。吊り荷高さの調整などはシミュレータでも実機でも難しいですね。
シミュレータを導入したときの目的は果たされていますか。
今年は生徒のうちの1名がシミュレータで訓練して実技試験に臨みましたが、不合格の通知のあとすぐに学科試験の期限(1年間)が切れてしまいました。彼の様子では再度 実技試験を受ければ合格だったと思うので残念です。
現在はまだ試用段階ですので、来年・再来年にはより多くの結果を伝えられると思います。