天井クレーンシミュレータ
クレーン運転経験のない方でも安全衛生技術センターで「クレーン・デリック運転士(限定無し/クレーン限定)」実技試験を受けることを想定して開発しました。
VR技術を使用しコンパクトな設計のため、一般的な居室に設置でき、ひとりでも安全に訓練できます。
シミュレータの特徴
実際の運転室と同様に配置した水平クランクハンドル3機とフットブレーキで操作します。
大画面ディスプレイやVRヘッドセットで吊り荷の動きを確認しながら試験コースを回ります。
荷振れ等の挙動は物理演算により再現され、吊り荷の高さは数値でも確認できます。
VRの利点と注意点
HMDを利用したVR技術には以下の利点があります。
- 両眼視により吊り荷とポールやバーとの距離感をつかみやすい
- 実会場に似た空間に没入し 繰り返し訓練することで試験時の緊張を和らげる
またVR技術には注意すべき点もあります。
- VR酔いを起こす人がいる
- 眼鏡によってはHMDに収まらないものもある
- HMDを通じて他人と間接的に触れることが苦手(ニンジャマスク等の不織布で予防可能)
このような受講生にはHMDに代わり大画面ディスプレイが有効です。
本シミュレータでは両方を併用できる方式を採用しています。
従来のような倉庫スペースは必要ありません。
受講生のレベルに合わせた訓練コース
実際の試験コースのほか、走行用、横行用、斜行用など5種類のコースを用意しました。
最初は走行用コースで振れを起こさずに走行できるようになるところから始めます。
試験コースでは、不得意なところを繰り返し練習できるよう開始位置を選択できます。
さまざまな天井クレーン仕様に調整可能
天井クレーンはメーカーも多く仕様はさまざまです。
弊社の天井クレーンシミュレータでは下記項目が変更可能です。
- 走行、横行、巻上の速度・加速度
- 走行の惰性
- 各ブレーキの効き
- 横行・走行コースティングノッチの有無
また運転席とコースの位置関係や揚程が異なれば、吊り荷の見え方や振れの大きさ・周期も変わります。
そのため下記も変更できるようにしました。
- 運転室の位置・高さ
- 揚程
これらの調整により、ご希望の天井クレーンに近い操作感を模擬します。
※ シミュレータであるため、実機と完全に一致させることはできません。
クランク | 速度 [m/分] | ブレーキ種類 | ブレーキ挙動 |
巻上 | a | 電磁 | 0ノッチ |
横行 | b | 電磁 | 0ノッチ |
走行 | c | 油圧ディスク | 足踏 |
各クランクの基本設定(a,b,cは可変)
各安全衛生技術センター設定を予めご用意
実技試験用クレーンの性能は全国の安全衛生技術センター7会場すべて異なります。
例えば関東や九州は走行速度が他より速く、横行にコースティングノッチがあるのは北海道、東北、中国四国だけです。
中部や九州は走行コースが運転席のほぼ真下となり、バー障害のあとの吊り荷の高さ調整が他より難しくなります。
全国7箇所の実技試験クレーンのイメージ(2020年時点)
設置環境
2m四方の空きスペースと100V・1500Wの電源をご用意いただければ設置可能です。
ヘッドセットの位置を捕捉する機器が赤外線を使いますので、直射日光等の強い赤外線が入る場所はお避けください。(カーテン等で遮ることのできる環境であれば問題ありません)
外部ネットワークへの接続は必要ありません。
※ 大画面モニタはクレーンのコントローラに対して斜めに配置します。これは試験会場の天井クレーンのガーダーが運転席の左側に設置されており、吊り荷は常に向かって左側にあるためです。
オプション
・指導者ー受講生 連動機能
一箇所に2台の天井クレーンシミュレータを設置する場合、個別使用に加えて、クロスケーブルで接続して1台を指導者用 もう1台を受講生用として使用することもできます。
指導者の画面にも受講生の模擬視界が表示され、指導者が任意のタイミングでクランクやブレーキ操作をすることで受講生の操作に介入できます。
この機能により吊り荷の振れ止めや追いノッチなどの技術を教えることが容易になります。
指導者の操作中は受講生の操作は無効化されますが、指導者が操作をやめて3秒後に受講生に操作権が戻ります。
・自動採点機能(開発中)
訓練後に自動採点が行われ、試験合格レベルに達しているかどうかわかります。
自分の苦手な項目を認識し、次の訓練にお役立てください。
減点小 |
標準時間超過(10秒) |
荷振れ大 |
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バー手前振れ止めせず |
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バー手前停止位置不良 |
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バー奥高さ変更位置不良 |
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減点大 |
巻上時衝撃荷重 |
地切後巻上停止せず |
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初期巻上後荷高さ不良 |
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バー通過後荷高さ不良 |
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コースアウト |
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着床前巻下停止せず |
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………… |
例)荷振れ大
・動揺装置(検討中)
より正確に試験環境を模擬するため動揺装置(モーション・ベース)の導入を検討中です。
天井クレーンでは走行操作にあわせて運転席が左右に移動しますので、シミュレータでは左右加速度を座席移動や傾きで模擬することで、実試験に近い環境をつくることができます。
また動揺装置の導入によりVR酔いが軽減されるとのデータもでています。
設置検討ARアプリ
iPhoneをお持ちであれば、無料アプリで設置場所の検討ができます。
- QRコードからアプリをダウンロードしてください。
- PDFをA4用紙に印刷してください。
- 印刷した紙を設置する場所の床に置き、アプリを起動してからiPhoneのカメラを床の紙に向けてください。
納入先
保証・保守
納入後一年間の保証期間中の故障修理は無償となります。
次年度以降は不具合発生時の遠隔・訪問対応に加え、操作方法についての質疑応答やクレーン諸元の調整、訪問年次点検を行います。
次年度以降も年間保守は継続可能です。
年間保守にはVRヘッドセットの落下などによる故障・修理期間中の代替機の無償貸出が含まれます。