床上操作式クレーン技能講習施設の方へ

床上操作式クレーンの無線化による影響

床上操作式クレーン運転技能講習はクレーン・デリック運転士の資格よりも取得しやすく、工場等の現場でも有用でした。

ですが最近の技術向上により、従来の床上操作式クレーンを無線化する現場が増えています。
この無線タイプの床上操作式クレーンの操作には、床上操作式クレーン技能講習の修了証では不十分でクレーン・デリック運転士の資格が必要です。

そのため、以前に床上操作式クレーン運転技能講習を修了された方が現場での機材更新後にクレーン・デリック運転士の資格を取りに再度教育施設を訪れるケースが増えています。
ですが教育施設にとっては、クレーン・デリック運転士の養成のために新たに天井クレーンを導入することも容易ではありません。

このような場合、筆記試験の講座を設け、天井クレーンシミュレータで実技試験対策を行うことで養成コースを運用する方法があります。

また今後、床上操作式クレーン運転技能講習生のみなさまにもシミュレータで練習し実技試験にチャレンジいただくことで、ご本人の就職先の幅も広がります。

床上操作式クレーン運転技能講習
床上操作式クレーン限定免許

見学・オープンキャンパスでも

施設に見学に来られる方に、シミュレータで安全に訓練を体験いただけます。
体験は見学者の興味を引き 記憶に残ります。

実機を使う登録教習機関の手続きは煩雑!

クレーン・デリック運転士のコースを新設するにあたり、天井クレーンのシミュレータでなく実機を導入し、登録教習機関になることも選択肢の一つです。 その場合、施設内の修了試験により安全衛生技術センターでの実技試験は免除されます。 しかし、実技教習を行う施設の登録は用地や登録申請の時間・労力そして費用がかかります。
天井クレーンの導入(つり上げ荷重3t以上の場合)
  • 導入時
    • 用地の確保、建屋の建造
    • 製造許可申請(都道府県労働局長)
    • 設置届(30日前)(労働基準監督署長)
    • 落成検査(労働基準監督署長)
  • 保守
    • 性能検査(原則2年毎)(登録性能検査機関)
    • 変更届、変更検査、休止報告書、使用再開検査、廃止報告書、設置者の異動(検査証書換:10日以内)(所轄労働基準監督署長)
    • 事業者が指名する者による法定の年次、月次定期自主検査の実行と記録の3年間保存
実技教習機関としての登録申請(都道府県労働局長)
  • 実施管理者講師、技能検定員の氏名と略歴(要経験
  • 実技教習に用いる設備、施設の性能
  • 安衛法第77条第2項第4号の要件に適合することを説明した書 下記引用「教習にあつては、前項の申請の日前六月の間に登録申請者が行つた教習に相当するものを修了し、かつ、当該教習に係る免許試験の学科試験又は実技試験を受けた者のうちに当該学科試験又は実技試験に合格した者の占める割合が、九十五パーセント以上であること。
つまり申請前6か月間の実技教習修了者の95%以上が安全衛生技術センターの実技試験に合格している必要があります。教習修了者が20人未満であれば全員が合格しなければならず、スケジュール通りに登録申請できるものではありません。

また、登録教習機関に認定された後の運用に際しても徹底した管理が必要です。たとえば2019年には京都のある登録教習機関の講習時間が告示より15分短かったことが判明し、2か月間の業務停止命令を受け該当期間中に発行した修了証が無効となったケースがあります。

シミュレータは手続き不要

天井クレーンシミュレータであれば上記の申請・検査は必要なく、既存の教室に約3m2の空間と100V電源があれば設置可能です。

導入時・保守期間に必要なリソースと手続き比較表

   

実機クレーン(3t以上)

シミュレータ

導入時

用地

500m2程度

5m2以下

建屋

クレーン等安全規則
13条に則した建屋

一般居室の
天井高

製造許可申請

必要

不要

設置届

必要

不要

落成検査

必要

不要

半年以上の教習と
その修了者の
試験合格率 95%以上

必要

不要

教習機関の登録申請 ※1

必要

不要

保守

隔年

性能検査 ※2

必要

不要

毎年

年次自主検査 ※3

必要

不要

教習実施計画の作成と
ホームページでの公表

必要

推奨

毎月

月次自主検査 ※3

必要

不要

日々

教習の種類、実施日、
時間、講師名等の
エビデンス記録

必要

推奨

※1 講師の工学的学歴と実務期間等の経験が重視される ※2 労働基準監督署長に申請書を提出し、登録性能検査機関が実施 ※3 事業者の指名した者が実施。検査表は3年間保存